20180330

 コの字型の校舎、奥まった玄関から出てきた生徒たちがぽつぽつと帰路につく。重いリュックを甲羅のように背負い下を向きながら歩くチェックシャツの少年、明るい髪色の育ちの良さそうな少女。制服のないこの学校の中庭は深い庇のためにいつも暗い。今日のように雨の日であればより一層。中庭に面するガラスブロックの出窓でひとりの少女はよく目を凝らし彼ら一人一人の顔を確認している。彼女はスカートの裾を退屈そうに弄ぶ。

「はるこ、定例会議始めるよ」