20180329


いちごヨーグルト
冷え切った洞窟のように暗い部屋。中心にあるのは優しい、しかし強い光で照らされたティアラ。その1300年前の王女の遺品は反射率の低い特別なガラスケースの中に飾られている。暗がりの中壁に寄りかかる女の目に銀色が輝く。
「そろそろかしら」
目標に歩み寄った女はガラスカッターで障壁を破壊、強奪、脱出。音もなく一瞬の出来事。空洞になった部屋はより一層冷たい。目を凝らすと横たわるもう1人の女。未だ乾かない血液の赤だけがこの部屋に暖かさをもたらす。