今井啓子『ファッションのチカラ』を読んだ。ファッション業界の第一線で活躍してきた1937年生まれの著者の個人史から、ファッションの歴史を紐解く本。ファッション業界の抱える課題を5つあげ、ユニバーサルデザインを解決策として挙げる。
本書が掲げるファッションの危機
著者は現代(2005年当時)のファッションの危機として
- 若者中止新主義
- 体型画一主義
- ブランドの記号化
- トレンド志向
- ジャーナリズムの不在
をあげている。
すなわち
- 若くなければならない
- 体型は九号でなければならない
- ブランドを記号として持たなければならない
- トレンドを追いかけなければならない
- ファッション誌の情報を取り入れなければならない
と言う5つの「ねばならない」を克服する必要があるのだ。
ユニバーサルファッションはこの「ねばならない」を乗り越える可能性のあるものだと著者は主張する。
感想
ファッションの力を力説するのがこの本だが、今、ファッションの力を信じる気にはなれない。
結局美しさは他人との比較でしか生まれなくて、世界中の人を比較を簡単にできる今、それは過剰になる他ないと思うからだ。若さ至上主義や体型画一主義など著者が上げるファッションの危機は、私にとって当たり前の価値観すぎて、巨大すぎて乗り越えられるものと思えない。(乗り越えられたらどんなにいだろうか!)あなたも若く見えます。細く見えます。と甘い悪夢を見せるのがファッションでそれでしかあり得ないと思う。