20180424 世界の首都

ヘミングウェイ

確実に起こる不幸を予測させるところがハラハラした。決定的瞬間が起こる直前の世界がスローモーションになる映像の表現があるけれど、その同時刻に主人公の周囲の人がしていたことを淡々と羅列して緊張した気持ちを高ぶらせてことが起こるまで焦らすのをしていた。パコ、ありふれた名前の少年。

勝者に報酬はない・キリマンジャロの雪―ヘミングウェイ全短編〈2〉 (新潮文庫)

勝者に報酬はない・キリマンジャロの雪―ヘミングウェイ全短編〈2〉 (新潮文庫)


決定的な瞬間、例えば力いっぱいのパンチが当たる前、ダダン、ダダン、ダダン、と心臓を打つ音が響きながらスローモーションになる演出、今では結構ギャグっぽいくらい普及した手法だと思うんだけど、発明した人は誰なのだろう。
スローモーション再生技術とともに生まれた表現なのか、舞台演劇の時からある表現なのかきになる。

スローモーションで緊張感を高めて一気にスピードが元に戻る構成の古いクラシックの曲はたくさんあるだろうから、人間のその感覚の起源について考えるべきかもしれない

小説のイメージを頭で再生する時の方法。つい映画みたいな二次元での動きを考えてしまうけれど、作者はもっと違う認知の仕方での伝え方をしてることもあるだろうと思った。
光文社新書伊藤亜紗『目の見えない人は世界をどう見ているか』で見えない人が3次元的に世界を捉えている話が紹介されているんだけど、文字による説明は視覚認知優位を抜け出して人の想像力を頑張らせることができるからもっと受け手として読むとき自分が今まで触ってこなかった領域へイメージ膨らませていきたい。その方が楽しい